「断りたいのに断れない」、「引き受ければ自分が大変になるのはわかっているのについ引き受けてしまい、後悔する」といった経験はありませんか。コミュニケーションの中で、相手に合わせすぎて自分の気持ちを素直に伝えられなかったり、逆に、自分の思いを無理に通そうとして、相手を思いやる気持ちが欠けていたりすることは、どちらも理想的なコミュニケーションではありませんね。
では、自分も相手も大切にするコミュニケーションとは、どんな方法でしょうか。今回は、そのカギとなる「アサーション(自他尊重の自己表現)」というコミュニケーション方法について紹介したいと思います。
アサーションとは、自分の感じていることや考えを自分も相手も大切にしながら、率直に伝えていく方法です。「自分の感じ方や考え方を大切にしてよいこと」、「感じ方や考え方は、人と違ってもよいこと」、「『いやだ』という気持ちを伝えても関係が続くこと」などに気づくことを目的としています。
アサーションのコツはいくつかありますが、その中でも一番取り入れやすいのが、気持ちを伝える時に「私は…」を主語にして伝える「Iメッセージ(アイメッセージ)」という方法です。「Iメッセージ」は、「私は~と思っています」、「私は~と感じました」のように、自分を主語にして相手に気持ちを伝えます。
例えば、ある職場をイメージしてみてください。「私は~あなたに○○してもらえると助かります」と私を主語にすることで、感じていることや考えていることを率直に、相手を傷つけずに伝えられます。その反対に、「Youメッセージ(ユーメッセージ)」で、「あなたはどうして私ばかりに仕事を押し付けるの?」と相手を主語にして伝えると、相手を非難した攻撃的な印象になってしまいます。
「Iメッセージ」で気持ちを伝えるためには、まずは自分の気持ちに向き合うことが重要です。様々な場面で、感情的にならずに「自分の気持ち」に気づき、それを「Iメッセージを使って相手に伝えることで、相手を尊重し、自分も大切にする、お互いに納得したコミュニケケーションが図れるとよいですね。