ストレスとうまく付き合うには…

 「ストレス」と聞くと、悪いものばかりのように感じる方もいるかもしれません。しかし、「ストレス」は、「ユーストレス(良いストレス)」と「ディストレス(悪いストレス)」の2つがあります。
 適度なストレス(ユーストレス)は、私達の生活を円滑に進めていく上で大切なものです。物事に取り組むために十分な力を発揮するためには、適度なストレスがあることが重要です。
 仮に全くストレスがない状態が続くとすると、エネルギーも湧いてこなくなり、物事に取り組む意欲も少なくなってしまいます。また、過剰なストレス(ディストレス)を受けてしまうと、私達のからだに好ましくない反応(強い不安など)が現れてしまいます。
 そこで今回は、ストレスとうまく付き合い、こころの力を引き出して元気に生活するための「コツ」をお伝えします。

こころの力を引き出すためコツ

ストレスを味方にするためには、3つの「C」が役に立つと言われています。

1、認知(Congnition)
これは、ものの受け取り方、考え方のことです。
 ストレスが強くなってくると、考えが硬くなり、柔軟な考え方ができなくなってしまいます。しかし、このような時に柔軟な考え方ができれば、こころの状態を悪くせずに本来の力を発揮することが出来ます。
 例えば、仲の良い友人とすれ違った時、自分が挨拶をしたのに返事がなかったという場面を想像してください。「何か悪いことをしただろうか」と不安になったり、「なぜ返事をしないんだ」と怒りが湧いてきたりするかもしれません。しかし、冷静に考えてみれば、もしかすると何かに集中していて気づいていないだけかもしれません。
 強い不安や怒りなど、ストレスがかかっている時には、極端な考えになりやすいものです。一呼吸おいて冷静になり、バランスの良い考え方をするように心がけましょう。

2、コントロール感覚(Control)
 こころの健康を保つためには、自分が問題に取り組めていて、成果があがっているという感覚がもてることが大切になります。
 こころに元気がない時には、「どうせできっこない」と物事に取り組む前から考えてしまい、動けなくなることがあります。
 そんな時には、「小さなこと」からで良いので、楽しめることややりがいのあることを「やってみる」ことが大切です。無理は禁物ですが、諦めず、少しずつ「やれること」を積み重ね、こころが軽くなったり、明るくなったりする体験をすることで、気持ちが前向きになっていきます。

3、コミュニケーション(Communication)
 人と人のつながりは、こころの健康に大切なことです。人間的な触れ合いの大切さは脳科学でも実証されているそうです。悩んでいる時に親しい人に手を握ってもらって気持ちが少し楽になったという経験をした人もいるのではないでしょうか。
 悩んでいる時は、必要以上に考えすぎていることが多いです。そうした時に、信頼できる人に手を握ってもらうと、考えすぎている脳の働きにブレーキがかかり、気持ちが楽になることもあります。
 逆に、人間関係がうまくいかないと、気持ちが沈み込んだり、不安になったりして、精神的に不安定になることもあります。みなさんも、親しい人との関係がうまくいかない時など、気持ちが沈みこんだりすることもあるのではないでしょうか。
 こころを元気にする人間関係を作る方法の一つとして、「アサーション」という方法があります。
 これは「とても強い言い方」と「とても弱い言い方」を両方ともイメージしながら、中間の調度良い、ほどほどの言い方を見つける方法です。誰しもが普段から無意識におこなっているものではありますが、少し意識して取り組むことで、自分の伝えたい事が相手に伝わりやすくなります。

現代のストレス社会の中で、元気に生活していくためにはストレスを嫌うのではなく、どのように仲良くしていくかを考えることが大切です。今回の内容をヒントに、無理はせず、自分なりのペースでうまく付き合う方法を探してみてください。

カテゴリー: 201707, 心理室より パーマリンク