睡眠をしっかりとりましょう

みなさん、毎日睡眠はしっかりとれているでしょうか。
眠れない日が続くと、脳の機能が低下し、いつもはしないような失敗をしたり、不安に思わないようなことで不安になったりと、いつも通りに物事を判断できなくなることもあります。また、睡眠が不足すると、身体の不調が現れることもあります。
心身の健康を保つためにも、十分な睡眠を取ることが重要です。

1.睡眠の役割  
 睡眠には、身体の疲れを取るだけではなく、脳を休息させ、その機能を修復・回復させるという重要な役割があります。脳は、非常に繊細な器官で、連続して活動し続けることが苦手です。16時間以上連続して覚醒状態が続くと、脳の機能が低下し、お酒を飲んで酔っ払った状態と同じ程度しか機能しなくなるという研究結果もあります。

2.睡眠と記憶の関係
 睡眠は記憶の向上と関係があるとも言われています。英単語の暗記作業など、学習を一定時間行った後に睡眠をとることで、睡眠をとらない場合よりも、その後の記憶の再生が良かったという研究結果もあります。寝ないで作業を続けるよりも、睡眠もしっかりとりながら作業を進めていく方が、結果的に効率がよいということもあります。

3.睡眠とホルモンとの関係
 成長ホルモンの分泌は、睡眠と関係が深く、寝入りばなの深いノンレム睡眠の時に集中して分泌されます。子供の頃には身体の成長を促し、大人になってからは心身を健康に保つために重要な役割を果たします。このホルモンのバランスを崩さないためにも、睡眠は重要な役割を果たしています。

4.睡眠のメカニズム
 私たちの睡眠は、「夜になると眠くなる」という体内時計の機能と、「疲れたから眠る」という恒常性維持の二種類のシステムで調整されています。
 人のリズムは、体内時計によって調節されており、約25時間周期とされています。しかし、1日は24時間周期なので、約1時間のズレが出てきます。このズレを調整するものが「光」です。
 朝起きると、まずはカーテンを開けて太陽の光を浴びる方も多いと思います。この光を浴びるという行為により、体内時計が調整されます。そうして調整された後、14~16時間後くらい経ち、周囲が暗くなってくるとメラトニンという物質が脳内で分泌され、少しずつ睡眠をとる準備が整ってくるのです。

5.良い睡眠をとるために
(1)昼間は光を浴びましょう
 前項の睡眠のメカニズムで紹介したように、人間の睡眠・覚醒のリズムは約25時間周期なので、それを24時間に調整するために、起床後2時間以内に光を浴びて、体内時計をリセットすることが大切です。 屋外は曇りの日でも、室内と比べて10倍以上の明るさがあるので、まずはベランダなど外へ出ることが有効です。また、昼間は60分以上屋外で光を浴びて活動すると良いとされています。いつも室内で過ごしていると、生活にメリハリがなくなり、不眠の原因となることもあります。
(2)夜は照明を少し暗くしましょう
 夜は、寝る少し前から部屋の照明を少し暗くするとよいでしょう。夜遅くまで過度に明るい環境で過ごしていると身体のリズムが崩れ、眠れない状態になることもあります。寝る前にテレビをみたり、パソコンやスマホの操作をすることは脳を活性化し、睡眠が取りにくい状態になる可能性もあるため、控えるとよいでしょう。
(3)食事はリズムよくとりましょう
 1日3食ある程度規則正しい食事をとることで、身体のリズムも整います。食事は、セロトニンやメラトニンなどの分泌にとっても重要であるとされています。朝食もしっかりとり、リズムを崩さないようにしましょう。

現代社会は、夜でも明るく、さまざまな電子機器にも溢れているので、なかなか生活のリズムを整えていくことが難しい状態にあります。
しかし、自分の心身の健康のためにも、睡眠のリズムを整え、元気に生活できるように心がけてみてはいかがでしょうか。
(参考 こころの科学 179号)

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