2001年3月心理室より

心理室より  育児不安について1

「子供が夜泣きをして眠れないから疲れがとれない」「何をしても泣きやんでくれない」「発育が遅いんじゃないか」「育児書のとおりにならない」「ミルクを飲まない」など、初めて母親になった時は、いろんな事がわからず、パニックに陥りがちですね。また母親としてのプレッシャーがのしかかり、お母さんは1人で赤ちゃんの命を背負っているかのように感じてしまいます。その結果、ちょっとしたことでイライラしたり、落ち込んだり、かわいいはずの我が子がかわいく思えず手を挙げてしまったり、テレビのニュースで幼児虐待と聞くと自分もそうしているのではないかと不安になったり、とお母さんの情緒が不安定になる傾向が多いようです。このような状態は、いわゆる「育児ノイローゼ」と言われていたり、「マタニティーブルー」と言われているもので、多くのお母さんが経験されているのではないでしょうか。今回はこのような【育児不安】についてお話しします。

 妊娠中または産後直後から1ヶ月までのあいだに、母親は一過性のうつ状態になることがあります。これはあらゆるホルモンを分泌していた胎盤が出産で体外に出て、一時的にいろんな種類のホルモンが不足してしまう為です。また産後もしばらくはホルモンのバランスが崩れ、不安定になる為です。またも、慣れない育児への不安もありますので、精神的に多くのストレスを受けてしまいます。そのような状態が重なると気分的に落ち込んだり、情緒が不安定になってしまいがちです。これは特に初めての子供を出産したときや、きょうだいや友人の育児を見たことのない人、核家族で誰にも相談できずに昼間赤ちゃんと二人きりで過ごすお母さん、まじめな人や自信たっぷりの人、働いていた女性に多く見られます。なぜなら育児にはきちっとした仕上がりが見えないので、「これで合っているのかな?」と不安に思うのです。
 しかし、これはお母さん自身も一生懸命子供と向き合っている証拠ですし、良い母親になろうと頑張ってしまったあまり、イライラしたり、心身のバランスも崩れがちになってしまったのです。ですが、このようなストレス状態が長く続くと、様々な心の病に繋がっていったりするケースも少なくないので、お母さんには【ストレス】や 【不安】を解消することをお勧めします。
 それから赤ちゃんは自分とは別のリズムを持っていることに気付くのも大切です。また子供はパターン化して考えられないものですし、きょうだいであってもそれぞれの人間ですから、1日のリズムも変わってきて当然です。生活のリズムは赤ちゃんにとって大切なものですから、夜泣きも赤ちゃんにとって体内リズムの一つであると考えると大切なものなのです。大人の考えを押しつけないで、その子なりのリズムを満たしてあげるよう心掛けてみましょう。また家族の方にも協力してもらってください。家族の方へのアドバイスとしては、「頑張れ」などの強い言葉で励まさないこと。お母さんが涙ぐんでいたらスッキリするまで泣かせてあげて下さい。

 子育てはお母さんだけの仕事ではなく、家族の仕事でもあります。それぞれが適切な役割をとって、子育てを分担して協力していくのが育児不安を軽減する一番のコツといえます。かわいい我が子の成長を家族で喜んでいけるよう、お母さんもお父さんも心にゆとりを持って下さい。

 次回は育児不安の解決法についてお話ししたいと思います。 

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