2011年7月

かんしゃく
 ちょっとしたことで子どもがかんしゃくを起こしてしまい、困っているお母さんは多いことと思います。ですが、かんしゃくは子どもにはよくあることです。1歳になる前くらいから現れはじめて、2〜4歳の間に最もよくみられ、普通は5歳を過ぎると減っていきます。実は、かんしゃくは子どもの心の成長のサインだったりします。子どもがかんしゃくを起こしやすい時期というのは、自立への欲求が始まる時期でもあるのです。なぜ自立しかかっている時期にかんしゃくを起こしやすいかというと、心の中にあるものや隠していたことがかんしゃくとして表に現れ出るからです。しかし、自立しかけのとき、子どもの心は不安定になります。父親や母親とは別の人格として自分を認めようとする気持ちと、まだまだ親に甘えたいという子どもらしい気持ち、この2つの間をいったりきたりしています。この心が不安定な状態は決して子ども自身が望んだものではなく、成長の過程で誰もが起こりうることです。だからといって不安定な状態は居心地の良いものではないので、子どもは自分の気持ちに対して常にイライラすることになります。このイライラがかんしゃくとなって現れてきます。
 
 かんしゃくを起こした子どもは、顔が真っ赤になり、大声を出す、叫ぶ、泣く、のたうち回る、床を転がる、足を踏み鳴らす、ものを投げるなどします。それらの行動の一部は怒っているようにも見えます。ですが、子どもが自分で抱えているイライラした苦しい気持ちを、母親に対してうまく伝えられるようになると、かんしゃくは次第におさまっていくことが多いです。そのために、子どもがかんしゃくを起こしたときには、子どもが本当に訴えたいことは何か、をしっかり感じ取ってあげ、慰めてあげてください。子どもは母親に苦しい気持ちを分かってもらえると、一時的には大暴れするかもしれませんが、そのうちに甘え泣きすることでしょう。また、子どもと添い寝して、優しい言葉をかけながらヨシヨシしたりとスキンシップを取ってください。このように、苦しい気持ちに対して、お母さんの方から慰めてあげるのも効果的です。このとき、「それはやってはいけない」と言う必要はないと思います。それは、子どもはしてはいけないことを分かっていて、やっている場合が多いからです。そして、子どもの気持ちが和らいできたら、自然に善悪の判断を持った行動がとれるようになるはずです。

 思春期や青年期前期頃には、反抗期というような形で子どもがイライラしたり、両親と衝突したりすることがありませんか?この頃には、親離れと自立をより意識する時期になっており、反抗期にもかんしゃくとよく似た側面があるのではないかと思います。気恥ずかしい気持ちがあるかもしれませんが、食事をしながら会話をしたり、同じ空間で過ごしたり等スキンシップを取ってみてはいかがでしょうか。

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