レジリエンス

 みなさんはストレスというとどんなイメージをもつでしょうか?悪いものというイメージをもっている方も多いと思います。確かに、強いストレスがかかると、気分の落ち込みや不眠など、心身に不調がでることもあります。しかし、ストレスがかかった時、心身に不調が出て落ち込んでしまう方もいれば、心身に不調が出てもそこから立ち直り、そのストレスを糧として成長していく方もいます。
 ストレスのない人生はありません。また、ストレスがあるから人は成長していけるのです。今回は、ストレスを減らすのではなく、ストレスの持つ力に着目し、成長の糧とする考え方を紹介します。

レジリエンスとは

 レジリエンスとは、「逆境や困難、強いストレスに直面した時に、うまく適応する過程や能力、その結果」と定義されています。レジリエンスが強い人は、不測の事態や環境変化にも対応する力が強いと言われています。レジリエンスを高めることで、自信が高まり、必要以上に不安にならなくなります。また、積極的に物事に取り組めるようになり、より自分らしく生き生きとした生活を送ることが出来るようになります。
 では、レジリエンスの高い人はどんな人で、高めるためにはどのようなことが有効でしょうか。

レジリエンスの高い人の特徴

1. 前向きに希望をもっている
 自分の未来に良いことがあるという前向きな気持ちを持ち、目標のために自分は頑張っていると思える、など、前向きな気持ちをもつことができる。

では、このような前向きな気持ちをもつためにはどのようにしたらよいでしょう。
(1)自分ならやれるという感覚をもつこと
 「自分ならできる」という思いを持ち、苦手なことにも取り組んだり、得意なことにさらに取り組むことで、「うまくできたという体験(成功体験)」を積み重ね、自信をつける。
(2)サポーターを作る
 積極的に他者と交流し、助けてくれる人を作っておく。助けてしてくれる人は誰なのかすぐに思い出せるようにしておく。

2. 感情をコントロールできている
 動揺しても気持ちを落ち着かせることができる。気持ちが落ち着かない時に、自分なりの方法でで気持ちを切り替えることができる。

では、感情をコントロールするにはどのようにすればよいでしょう。
(1)気分の動揺やマイナスの感情も、それは自然に起こることだと受け止める
 生きていれば、動揺したり、気持ちが沈み込んだりすることは誰にでもあります。それが自然なことだと受け止めるようにしましょう。
(2)マイナスのことを何度も考えることで、悪いスパイラルに入りこんでしまう流れを止める
 悪いことを何度も考え続けると、さらに落ち込んでしまいます。「適度な運動」や、「趣味(音楽を聞く、旅行に出かけるなど)」、「呼吸法などのリラクゼーション」、「誰かに相談をする、話しをする」、「思ったことを紙に書いて表面に出す」、など、気分を切り替える方法を身につける。

3. 色々なものに興味関心をもっている
ものごとへの興味関心が強く、好奇心をもって色々なことにチャレンジしたいという気持ちをもっている。大変な出来事もそれに価値があるという考え方をできる。

では、このような気持ちをもつためには、どのようなことをするとよいでしょう
(1)興味関心の幅を広げてみる
 自分が興味関心をもったものに積極的にチャレンジしてみる。
(2)これまで苦手、無理だと思っていたことにも、まずは挑戦してみる
 苦手だ、出来ないと思ってやらずにいたことに、挑戦してみるとよいでしょう。無理はしなくてもよいですが、上手く出来ないと思っていたことでもやってみると意外と楽しく、価値を見いだせることもあります。
(3)これまで頑張ってきた出来事を振り返り、プラス(よい)意味を考えてみる
 これまでに、頑張って続けてきたこともあると思います。その出来事を振り返り、その中からどんなよいことがあったのか、プラスになる意味を考えることで自分の考えの幅も広がります。

以上のように、レジリエンスの強い人の特徴と、そのような行動を取るための方法をいくつかご紹介しました。とはいえ、これはいくつもある方法の中の一部に過ぎません。
あなた自身が、「自分なりに生き生きと生活できる何か」を見つけていくことが重要です。
生活の中で、これをやったら「気持ちが楽になった」「気持ちを切り替えられた」「不調から脱出できた」という出来事を見つけて、実践してみましょう。

カテゴリー: 201607, 心理室より パーマリンク