2005年11月心理室より

人の魅力
今回は『人の魅力』についてお話したいと思います。
生活の中で「好き」とか「苦手」とかいった他者との関係は大きく影響力をもっているようです。同じ言葉でも伝えてくれた相手によって違って聞こえたり、同じ仕事でも一緒に協力する仲間によって頑張れたり、やる気がそがれたり。このコントロールの難しい気持ちは多くの人が日常の中で体験するので深い関心がもたれますが、その基礎にある『人の魅力』に強く影響をもつものとして「環境」「個人的なもの」「自分への評価」「お互いの関係性」「お互いの行動」という5つがあげられます。

【環境とは】
 まず、お互いの距離の近さがあります。それは良くも悪くもお互いの感情を増幅させることによると考えられます。例えば、学校で隣の席になった子と仲良しになれたといった良い面。また、苦手なところを発見してしまってそれから会う度にますます嫌悪感がつのっていくという悪い面などがあげられます。これは出会った初期に最も強く影響をもつことです。また、出会った状況も魅力を左右するといえます。とても楽しい場で出会った二人は相手との思い出も楽しいものとなり、相手への印象も良いでしょう。一方で不快な環境で出会った二人は、相手への思いさえも不快なものと感じてしまうように、環境と相手そのものが連合してくることもあるのです。ちなみに、恐怖を共有する状況では他者と一緒にいたいと思う傾向があるそうです。

【個人的なものとは】
 まず身体的な魅力があげられます。これはよくいう、「きれい」とかいう言葉であらわされるもので、見かけです。そして性格があげられます。見かけも性格も個人的な好みによるため大体の共通性をもちつつも、相手の好みのタイプによるというところがあります。ぴったり合う相手と出会った時にその人の個性は最大限に輝き魅力となるでしょう。
 また、能力も魅力を想定する1つです。その人の能力を目の当たりにして尊敬の気持ちを抱いたり、予想よりできないとわかってがっかりしたりすることです。また、自分の得意な分野での他者の優れた能力をみることは自分の評価が下がることがあるため、逆に魅力が減ったりという場合などもあります。

【自分への評価とは】
 一般的に人は自分に好意的に接してくれる人、自分を認めて良く思ってくれる人に対して同じように良い感情をもち易いということがあります。反対に相手が自分のことを良く思ってくれていないのではと感じると、相手のこともあまり良く思えなくなることもあるようです。気持ちは伝わり影響し合うのです。

【お互いの関係性とは】
 お互いのことを知ってくると、相手と自分が似ている部分、似ていない部分などが影響をもつようになります。これは「類似性」というもので、自分にとって大切に思う部分、価値観が似ているとより相手に対して親しみを覚えるということです。これは相手のことを理解しやすいことから分かり合えるという思いが生まれやすく、元々自分が良いと思っている行動などを相手も行ってくるので感じ良く受け取ることが多いからともいえます。しかし一方で、全然似ていない二人が親友だったりということも大いにあります。これは「相補性」といって、相手が自分にないものをもっているからこそ魅力的に感じるということです。自分は気性が激しいところがあるから穏やかな友達と一緒にいると落ち着くなどといったことがあります。でこぼこコンビなどといわれる二人です。このどちらかということは色んな状況によって変わってくるので、友達の幅が広がったり全く違うタイプの恋人ができたりします。

【お互いの行動とは】
 自分について話すことを自己開示といいます。相手からお互いの親しさに応じた自己開示がされると好意を感じることがあります。それは相手が自分により近づいてくれたと感じ、前よりも仲良くなれたのではないかと思うことができるからです。特に、あなただから気楽に話せた、などと相手が自分を選んでくれたときなどに嬉しいと感じることが多いようです。もちろん、打ち明けてくる内容にもよるので、思ってもみなかったことを打ち明けられてショックを受けることもあるので慎重さが必要です。

 人の魅力についてお話しましたが、世界中のみんなに魅力的だと思われなくてはいけないことはないと思います。自分と合う人合わない人と出会っていく中で、自分の個性を伸ばしていき、その人らしさをもってその時々で対応していくことが魅力につながるのではないでしょうか。

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