2005年7月心理室より

ハロー効果
今回は人のイメージについてお話したいと思います。
 人はそれぞれの人生経験から、他の人に対して、漠然としたイメージを作ることが多いようです。外見や職業、行動の特徴など、他者の様々な情報を処理して「この人はこういう人ではないかな」と自分の中でイメージを作っていくのですが、このイメージ作りにはいくつかの傾向がみられるようです。

 まず、『ハロー効果』というものがあります。これはある人がとても良い(悪い)一面を持っていると感じることで、全く関係のない別の一面までもが良い(悪い)のではないかと思ってしまうことです。例えば、相手の器量のよさに目がくらんで、きっと頭も良いのだろうと思ってしまうようなことです。 また、他にも、これまでの過去の経験からAという特徴にはBという特徴が結びつきやすくなっているということもあります。
 例えば、派手な格好を好むだらしのない友人と親しくしていた人が、新たに、全く関係のない、派手な格好を好む人と出会った時に、この人はきっとだらしのない所があるのではないかと思いやすいということです。

さらに、社会や集団に対しても「きっとこうに違いない」という期待をして、個人差には目をつむった、型にはまったイメージ作りをしやすいということもあります。例えば、○○会社に勤めている人は皆真面目だろう、といったことです。中の一人一人はそれぞれの違った個性を持っているのに、まとめて決めつ けてしまうことです。

 これらの人に対するイメージの作り方は、もしかするとその人そのものとは違った、歪んだ思い込みを持つきっかけとなっているかもしれません。白紙の状態から人を理解していこうとすることは時間がかかり、考えれば考えるほどわからなくなってくることもあるでしょう。そのため、人は思考を節約して、自分の経験を生かした判断をすることが多いのです。

 この作業は、たくさんの人と関わりあいながら生活していくために必要な能力でもあるのです。しかし、決め付けたとらえ方に頼ってしまうと事実を見過ごしてしまう恐れもあります。決め付けないで柔軟に相手を見ていくということも大切なのではないでしょうか。違う一面をみつけた、新たな発見が新鮮だったなど、誰かをよりよく知っていくことはその人により近づけて親しみを持てたり、さらには自分を知ってもらうことにもつながっていくのではないかと思います。

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