2001年11月

冷え性   
これからの季節、気温が下がるにつれ、寒さを感じることも増えていくことと思います。そこで今回は、ふだん「冷え性」とよばれている状態をテーマにとりあげてみたいと思います。

 みなさんはどんな時に「冷え」を感じるでしょうか。同じ部屋、同じ場所にいても寒く感じる人もいれば、寒く感じない人もいるという経験はないでしょうか。このように「冷え」の感じ方は人それぞれです。ですから「冷え性」と呼ばれる状態も、何度以下だから冷え性だ、というものではなく、本人が寒い、冷える、と感じていればそれは「冷え性」と捉えることができるのです。
 では、「冷え」を感じるとき、からだの中ではどんなことがおこっているのでしょうか。人が寒さを感じたとき、誰でもからだの中では血管の収縮がおきています。しかし、「冷え性」といわれる人たちはからだのどこかで血液の流れが滞っており、スムーズに血液が流れておらず、それが「冷え」を感じさせるのです。つまり、「冷え性」は血行不良をわたしたちに伝えてくれているのです。
 しかし、血行不良にもさまざまな原因が考えられており、それによって「冷え」のタイプも変わってくると考えられます。そのいくつかをあげてみましょう。

1. 毛細血管収縮
寒い冬が辛いという場合。これは「冷え性」でない人でも感じる感覚です。熱を逃がさないように毛細血管が収縮し、それによって「冷え」を感じます。

2. 低血圧
朝起きたときが辛いという場合。寝ているときは比較的血管は拡張していますが、血液を送る勢いがないのでなかなか手足の 先の毛細血管まで血液が行き届きません。そのため、特に朝「冷え」を感じます。

3. 貧血
全身が冷える場合。各器官に送られる酸素濃度が低いため、細胞での栄養の燃焼が不完全になってしまい、全身をうまくあたためられない状態です。

4. 筋肉不足
運動をしなくなってから「冷え」を感じるようになった場合。抹消の血液が心臓に送り戻される力が弱くなってしまったため、十分に血液を送れていない状態です。

5. 自律神経の乱れ
手足の先がいつも冷たいという不快感がストレスとなり、自律神経の働きを乱れさせてしまいます。その結果、血行不良を慢性化させるという悪循環が生じてきます。

冷え性対策】 
筋力をつけたり、食事に気をつかったりするなどいくつかの対策が考えられますが、今回は次のことをあげてみます。今年の冬は冷え性対策で暖かい冬を過ごしましょう。

<足浴>
手足や腰が冷えて寝付きのわるい方は、寝る前に足浴をしてみましょう。

1. 深めの洗面器かバケツに38℃くらいの少しぬるめのお湯を入れ、両足の足首までつかります。
2. 両足がつかったら、お湯を少しずつ注ぎ、42~43度くらいまで上げます。お湯が冷めてきたらまたお湯を注ぎ足していき、約15分つかります。このとき、注ぐお湯で火傷しないように気をつけましょう。
3. 15分たったら、丁寧に足を拭いて寝ましょう。

<靴下、下着の工夫>
 厚手の靴下や下着も効果的です。ただし、からだを締めつけないものを着用しましょう。 また、夜靴下を履いて寝るのは、足裏の体温調節機能を妨げてしまいます。温まった足裏は体温調節のために発汗します。このとき靴下などで足裏を覆ってしまうと発汗による体温調節がうまくいきません。また汗でしめった靴下が熱を奪ってしまい、逆に足が冷えてしまうことになりかねません。

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