2011年9月

学習性無力感
 学習性無力感 長い間ストレスを受け、そのストレスを避けることが難しい環境にいた人が、その状況から逃れようとする努力すら行わなくなること。
 「何をしても意味が無い」ということを学習してしまうこと。
 うつ病になってしまう背景の一つとされていますが、詳しいことはわかっていません。

 通常であれば人はストレスに対する対処を意識的に行うことが出来ますが、長期に渡って人が監禁されたり、暴力を振るわれたり、自分の尊厳や価値がふみにじられるような場面にあった場合、次のような徴候が現れるといいます。

①ストレスが加えられる状況から、自分から積極的に抜け出そうとする努力をしなくなってしまう。
②少し努力をすれば、その状況から抜け出すことができるとしても、「努力すれば成功するかもしれない」ということすら考えられなくなってしまう。
③ストレスに対して何も出来ない、ストレスから逃れられないという状況の中で、心身に混乱をきたしてしまう。

特殊な状況でなくても、無力感を学習してしまうことはあります。

 例)学校において“落ちこぼれ”てしまっている子ども

「何をしても無駄だ」と思ってしまうと、できるはずのこともできなくなってしまう視点を変えれば、きっとまだできることや効果のあることはあるはずです

学習性無力感から抜け出すためには 
*「決してあきらめない」
*周囲のサポート:無力感を感じている人を「褒める」こと・「尊厳を尊重する」こと
*ストレスコーピングの力をつけること
 
ストレスコーピング ストレスに対処しようとすること
★問題焦点型対処:ストレスそのものを変化させて問題解決しようとすること
原因をはっきりさせ、そのストレスを減らすにはどのようにすれば良いか調べ、自分で状況を変えるというもの

 例)満員電車がストレス→早い時間に家を出てラッシュにぶつからないようにする

★情動焦点型対処:ストレスに対する考え方や感じ方を変えようとすること

 例)対人関係にストレスを感じている→周りの人や環境を変えようとするのではなく、

 自分の感じ方や考え方を変えて適応できるようにする
 過剰なストレスが長くかかると、身体や心への様々な悪影響が考えられます。

☆健康を維持するためには…
 状況に応じてストレスコーピングの方法を変えて対処することが大切

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