LGBT-性的指向と性自認-

 「LGBT」という言葉を聞いたことはありますか。LGBTとは、次の言葉の頭文字をとって組み合わせた言葉で、性的少数派(セクシャルマイノリティ)を表す言葉の一つとして使われるものです。

○性的指向・・・どのような性別の人を好きになるか。

・L:Lesbian(レズビアン)・・・女性の同性愛者

・G:Gay(ゲイ)・・・男性の同性愛者

・B:Bisexual(バイセクシャル)・・・両性愛者

○性自認

・T:Transgender(トランスジェンダー)・・・「身体の性」と「心の性」が一致しないため、「身体の性」

                         に違和感を持つ人

※性的少数者(セクシャルマイノリティ)には、LGBT以外にも、自分の性別がわからない人(Q:クエスチョニング)、一般的に定められた「男性」「女性」のどちらとも断言できない身体構造を持つ人(I:インターセックス)、誰に対しても恋愛感情や性的欲求を抱かない人(A:アセクシュアル)等、様々な人がいます。

 電通ダイバーシティ・ラボが2015年に行った調査によると、日本におけるLGBTの割合が人口の7.6%存在するそうです。また、LGBT総合研究所がインターネット上で全国20代から60代に行った調査では、LGBTという言葉の認知率は91.0%であったのに対して、内容の理解率は57.1%と半数程度でした。その為、LGBT当事者の方が日常生活において、さまざまな場面で生きづらさを感じることが多くあります。例えば、学生の場合は制服が決められていて、「心の性」は男性であるにも関わらず、「身体の性」が女性の為、学ランを着なければならず、それを苦痛に感じることもあります。対人関係においても、「男らしさ」「女らしさ」を求められ、不快な思いをすることもあります。

 宝塚大学が行った「LGBT当事者の意識調査」では、職場や学校での差別的発言を受けた当事者は71.7%にも及びました。LGBT当事者は差別的発言等を受けることが多くあります。また、自分がLGBTであると打ち明けるカミングアウトをしていない当事者は78.8%でした。約10人に1人LGBT当事者の方がいるにも関わらず、それを多くの人が知らずに過ごしています。その為、LGBT当事者と知らずに、なんとなく発した言葉が相手を傷つけていることもあるかもしれません。

 自分の性について、一人で悩みを抱えている人もいるかと思います。全国には相談窓口やピアサポートを行っている団体もあります。また、SNSなどで当事者同士と匿名で知り合うこともできます。インターネットで「LGBT 交流会 (地名)」等で検索すると、多くの情報を見つけることができます。

○誰もが自分の性的指向・性自認を尊重され、自分らしく生きることのできる社会を作る為に

1.多様な性について知る

2.習慣・常識を変える

3.理解者を増やす

 性はとても多様で、はっきり分かれているのではなく、グラデーションになっています。「身体の性」だけで相手を決めつけずに理解することが必要です。一度、性の多様性について考えてみてはいかがでしょうか。

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