2005年3月心理室より

ほめ上手で人から好印象に
 人が何人か集まると、ついついその場にいない誰かの欠点を指摘したり、悪口を言ったりしてストレスを発散している人がいるかもしれません。とはいえ、自分のことを振り返ってみると、人からほめられた時には喜びを感じるのではな いでしょうか。

 人は誰でも他人からほめられたいと願っています。そしてほめてくれた人に対しては好意の感情をもつようになります。その理由のひとつを心理的にいうと、私たちはいつも「社会的真実性」を求めているからです。
 正か否か、白か黒かを明確に実証する、自然科学などの真実性を、「物理的真実性」といいます。そのためか、「真実」という言葉を聞くと、私たちはいつでも白・黒がハッキリしたものと考えがちです。しかし、私たちの暮らしの中では、目に見えない不明確な真実、すなわち社会的なことがらに対する真実性の判断に迫られる場合が多いのです。

 では、人は何を基準にして社会的事実の「正しい」「正しくない」を判断しているのでしょうか。実は、「他人がどう評価しているか」ということなのです。
 人は、何かをした時に評価を求めるものです。他人の評価がなければ、例えば絵画、彫刻、音楽などの芸術作品に優れているのか、劣っているのかがわかりにくいわけです。他人が評価してくれた時に、「この作品は優れた作品だ」という社会的真実性が生まれるのです。このように自己満足だけ
では、自信にならない場合が多いのです。

 ほめられることで、自信につながっていくのですが、現実には人をほめる事はなかなか難しいことです。プライドが邪魔をして他人を評価することができない人もいると思います。また、心理的なバランスからいえば、余裕のある心の持ち主でないとなかなか人をほめることはできません。

 日ごろ相手の欠点を探す目で見ると、どうしてもとげとげしい態度になり、意地悪な言葉を浴びせがちになります。そのため、相手に反発されたり、相手を萎縮させたりするわけです。反対に、人の長所を重点的に見るようになると、自然と表情もなごやかになり、思いやりのある話し方ができるようになります。

 ほめるという行為が特に大きな効果を発揮するのは、「その人の個性の全く違った一面を引き出す」、「独自性のあるほめ方をする」ことです。例を挙げていうと、日ごろから容姿のことをほめられている美人に対してなら、「頭が切れますね」とか、「音楽のセンスが素敵ですね」というように、その人の全く違った一面をほめてあげるのが効果的です。
また、ただ「かわいい」というのではなく、「口もとがかわいい」、「目が素敵ですね」というように具体的に表現することも効果的です。

 人は、自分が認められほめられれば、それが自信となり、それをのばそうとしてますます磨きをかけます。好きな人に対してばかりではなく、自分の周囲の人の良いところを探してみて下さい。それだけで、人間関係は大きく変わっていくのではないでしょうか?

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