2005年1月心理室より

心の葛藤
 人は誰でも迷ったり、悩んだり、困ったり葛藤しながら生きています。今回はその「葛藤」についてお話したいと思います。

 「葛藤」とは同じくらいの強さの欲求が複数あり、その中からどれを選んで行動しようか悩むことをいいます。
 ドイツのレヴィンは「葛藤」を3つに分類しました。

●「接近―接近型:どちらかを選ぼうか迷うとき」
どちらに対してもプラスの感情があって悩んだり迷ったりする状態のことをいいます。解決は容易なように思われますが、一方を選択した後でその選択が間違っていなかったという気持ちが強くなり、再び悩む原因になってしまうことも考えられます。
例)同じくらい仲の良い友人に同時に誘われどちらを選ぶか迷ってしまう。

●「回避―回避型:前にも後ろにも進めないで迷うとき」
 2つのマイナスの感情があり、そのために迷い悩む状態をいいます。この場合、うまく逃げたり、我慢し受け入れて解決しようとしますが、ストレスがたまりやすいことが考えられます。
例)父におつかいを頼まれたが外は雨が降っていて行きたくない。しかし行かなければ父にしかられてしまう。

●「回避―接近型:好奇心はあるが行けば必ず恐怖心が生じるような場合」
 心の中にある良心や道徳心、義務感と、予測される行動の結果が混ざり合い、恐れや不安がおきて欲求不満になる状態をいいます。
例)お酒を飲みたいが車を運転しなければならない。

 良心、道徳心を優先する気持ちが強く欲求を抑えすぎてしまう場合や、また、自分自身の中で起きている葛藤をしっかり自覚できず、本当は自分が感じている気持ちなのに、他者が感じている気持ちを自分に向けているのだと思ってしまい(例:自分が相手を嫌いなのに相手が自分を嫌っていると思う)、相手をコントロールすることにより自分の葛藤をコントロールしようとする、行動上の問題が起きてしまうことも考えられます。

 心の中でどのような葛藤が起きているかを観察、自覚し、その人らしい解決の仕方、判断、行動ができ、欲求不満に耐える力も持っていることが望ましいのではないでしょうか。

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