2004年5月心理室より

ライフサイクル
 一人の人間が生まれ、成長し、死に至るまでの一貫した流れと、それぞれの年代で“発達課題”を達成しながら心の成熟を遂げていく課程をいいます。人は成長と老化という変化、立場や役割の変化、入学、卒業、就職、結婚などの出来事や環境など様々な変化の中で生きています。誰もがたどる乳幼児期、児童期、思春期、青年期、成人期、中年期、老年期とはどのような時期なのでしょうか。また、それぞれの年代で学び、達成していく課題とはどのようなのものなのでしょうか。

 今回は乳幼児期、学童期についてお話ししたいと思います。

●「乳幼児期」
 この時期に自分は母親とは異なった存在であることを自覚し、自己主張を始めます。親しみのある人とそうではない人とを区別する人見知りがあったり、母親や母親の代わりになる人から引き離される時に不安を示したりします。また、運動、言葉、認知など様々な発達とともに身辺処理の技術を身に
つける時期でもあります。技術を身につける方法は周囲の行動をまねすることが主となり、それによって自律が促され、基本的生活習慣が確立していきます。そして、養育者との良い相互関係が達成されることで、子供は他者への安心感や信頼感など基本的信頼を獲得すると言われており、子供の要求に養育者が適切に一貫して反応することがよりよい相互関係を作ると考えられています。

●「児童期」
 あたかも自分が親であるかのような振る舞いや、親の持っている特徴を自分も持っているように考えたり、感じたりすることを通して、自己概念を高めようと努める時期であり、幼児期までに獲得した自律性をもとに積極的に外界を探索することで達成されると言われています。幼児に特徴的な自己中心的な考え方ではなくなっていき、今まで家族が中心的だった対人関係が、家族外の友達関係が中心になっていきます。そしてその友達関係が発達に重要な意味を持つと言われています。仲間が遊びの関係から精神的な共感をともにする関係へと変わり、集団の中でルールを受け入れ、役割を担い、環境の中での“自分”をとらえられるようになり、自分自身についての考えが確立していく時期なのです。また読み、書き、計算などの勤勉的な態度を身につけるようになり、一方ではそれらがうまくいかないと、自分を否定的にとらえてしまい劣等感を持ってしまうということも考えられます。

 次回は引き続き、思春期、青年期についてお話したいと思います。

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