2002年7月

熱中症   
 これから日差しもますます強くなり、暑い季節がやってきます。こんな時期に気をつけたいのが熱中症。今回は熱中症についてお話しします。   

【熱中症って何?】
 熱中症とは、暑い環境や体の中でたくさんの熱をつくるような時などの”暑さ”によって引きおこされるさまざまな体の不調のことをいいます。もう少し詳しくいうと、その”暑さ”のために体温を維持するための機能の失調状態から臓器の機能不全に至るまでの連続的な病態を熱中症といいます。

【日射病とどう違うの?】
 よくいわれる日射病というのは、太陽の日射しに長時間当たることによって体内に熱がこもり、体に不調がでること指します。しかし、熱中症は日射以外の高温による障害を全て含んでいます。

【熱中症はどんな時に起りやすいの?】
 一般的には、暑い夏の季節に起こしやすいといわれていますが、スポーツをして体内の筋肉から熱が発生したり、脱水などの影響によっても起こり、寒いとされる時期に起ることもあり ます。特に体力の弱いお年寄りや子ども、肥満の人、発汗機能が低下している人、体調不良の人、暑さに慣れていない人などは熱中症にかかりやすいといわれています。

【熱中症の症状は?】    
 医学的には軽症度、中等度、重症度と3つの病態に分類されています。
<軽症度>
 口渇、発熱、顔面紅潮、めまいなどですが、四肢や腹筋などに痛みを伴った痙攣がみられることもあります。また、数秒間の失神の他に、脈拍が速く弱い状態になったり、呼吸回数の増加、顔色が悪くなる、唇がしびれるなどがみられることがあります。主に運動をやめた直後に起ることが多いといわれています。

<中等度> 
 脱水症状が著明となり、めまい感、疲労感、頭重感、失神、吐き気、嘔吐などのいくつかの症状が重なり合って起ります。血圧の低下や脈が速くなったり、皮膚が蒼白くなったりします。この時に放置したり誤った判断をすれば重症化する危険性があります。

<重症度> 
 意識障害、おかしな言動や行動、過呼吸、ショック症状などが中等度の症状と重なり合って起ります。体温が40度を越えると細胞に機能障害が起きるため、臓器不全となり、生命の危機につながります。

【ふだんの生活で気をつけられることは?】
・暑い時の無理な運動は避けましょう
 …運動をする場合は、涼しい時間帯にし、休憩と水分を補給するようにしましょう。
・急な暑さには注意しましょう
 …熱中症は梅雨明けや急に暑くなった時におこりやすいといわれています。  これは体が暑さに慣れていないためで、こんな時には運動を軽くにおさえ、少しずつ体を暑さに慣らしていくようにしましょう。
・服装を工夫しましょう
 …暑さと寒さに合わせて、吸湿性や通気性のよい素材を選びましょう。また直射日光は帽子などで防ぐようにするとよいでしょう。
・部屋は涼しくしましょう
 …温度が異常に高い時は風を通して涼しくしたり、エアコンをつけることも考えるとよいでしょう。

【もし熱中症にかかったら?】
 軽症の場合には、涼しい場所に移し、衣服をゆるめて仰向けにします。また熱中症の場合には水分を補給しなければいけませんが、水だけではなく塩分の補給が必要です。それは脱水からの回復を早めるためです。飲み物としては、水分と塩分が含まれている市販のスポーツドリンクなどが好都合でしょう。しかし、熱中症は放っておいたり誤った判断をすると生命の危機にもつながります。症状が重い時にはすぐに医療機関を受診しましょう。
 今年の夏も”暑さ”とうまく付き合って乗りきりましょう!

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