2001年7月

暑さと汗 
 蒸し暑い日が続きます。これからの季節、暑さもますます本格的になり、汗をかくことも多くなってきます。そこで、今回は汗についてお話をしていこうと思います。
 汗といってもその種類はさまざまです。暑いときに出る汗、カゼをひいたときにでる汗、ヒヤッとしたときに出る汗、辛いものを食べたときに出る汗などです。その中でも、今回は特に暑いときに出る汗についてお話します。

【汗はなぜかくの?】  →  体温調節をしています!

 暑い夏になってくると、少し動いただけなのにというばかりか、じっとしていてもすぐに汗をかきます。肌はベタベタし、不快になることもしばしばです。もし、汗をかかずに快適に過ごせたらどんなにいいだろうと思ったことはありませんか?
 私たちの体温はふつう37度C前後に保たれています。これは、からだの中で絶えずおこっている代謝の際に生み出されるエネルギー(大半が熱)と、その一方で熱を体外に逃がすバランスがとられているからです。熱はその大部分を皮膚から逃がしており、皮膚面に出た汗が蒸発する時に熱を奪うのです。ですから、暑いときに出る汗は、わたしたちの体温を常に一定にしておくために、 さらに付け加えれば、生理的機能を正常に働かせるために必要な冷却機能といえるでしょう。

【熱がにげていかない熱中症】   →   たとえば水をとりながら!  

 暑さがきびしかったり、運動や労働をしたりしたときに、汗はたくさんかいているのに体温が上がるのを防ぎきれない状態になることがあります。また、湿度が高く、蒸し暑いときには、汗が蒸発しにくく、流れ落ちるだけになってしまうことがあります。
 このような汗では、熱を逃がす効果はありません。脱水をおこし、汗がでにくくなり、体温は上昇する一方で、からだに熱がこもってしまいます。これでは、熱中症などの障害を起こしやすくしてしまいます。このようなときには、例えば水をとりながら運動や労働をするようにしましょう。そうすると、汗をかくので体温は上がりにくく、心拍数も上がらないので心臓への負担も少なくなります。

【汗とのかしこいつきあい方】

 衣服   →   快適に過ごせるのが一番!
  
 衣服の素材、形(デザイン)、着方によって、皮膚に触れる部分の温度や湿度、気流が著しく影響され、それによって汗が蒸発する効率が違ってきます。
 暑いときの衣服は、衣服内の温度や湿度をできるだけ上げないものを選びましょう。特に汗が出ているときには、出た汗を蒸発しやすくするために通気性のよいものが適しています。 ポリエステルなどの水を通しにくい繊維は、表面に微少な凝結水ができやすいので、快適感を損ないます。また、木綿などの天然繊維は吸水性は高いのですが、いったん濡れると蒸発が遅く、その後の吸水性が低くなります。最近では、吸水性、速乾性の高い合成繊維が開発されています。そのときの状態や状況によって、快適に過ごせるような衣服を選びましょう。
 裸でいることは、汗を蒸発させるという点ではよいのですが、肌を紫外線から守ったり、太陽の放射熱を遮断したりするためにも衣服を着た方がいいときもあります。しかし、激しい運動をしたときなど、体温が上がって汗がたくさん出ても、着ている衣服がその蒸発を妨げ、熱を衣服内に閉じ込めてしまうことがあります。このようなときには、裸でいる方が効果的といえるでしょう。

 汗をかいた後には・・・・  →   清潔にしましょう!

 たくさんの汗をかいた後には、早めにシャワーを浴びるか、熱すぎない風呂に入って汗を洗い流しましょう。皮膚を清潔にするばかりでなく、疲労回復にも役立ちます。汗をかいてもほうっておくと、次のようなことがおこりやすくなります。

・汗の塩分が濃くなり、ほこりや垢を吸い付けて不潔になりやすい。
・汗の塩分が蒸発の速度を遅らせて、体温の調節効果がおちる。
・汗の始末をしないまま暑い戸外から冷房のきいた室内に急に入ったりすると、体温が急速に下がり、カゼをひいたりする。
・あせもができやすくなる。
・においを強める。

 寝床   →   冷え過ぎに注意!

夏でなくても、睡眠中は汗をよくかきます。そこで、衣服と同様、寝間着や布団などにも通気性の高いものを選びましょう。
また、クーラーや扇風機を強くしすぎないようにし、タイマーを使ったり、強い風が直接あたったりしないように注意しましょう。

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