2003年5月

単純疱疹(単純ヘルペス)
 
 前回は帯状疱疹についてお話ししました。今回は単純疱疹についてお話ししましょう。単純疱疹も帯状疱疹もヘルペスウイルスがひきおこし、症状もある程度似ているのですが、別の疾患です。一般にはヘルペスは帯状疱疹を指す場合が多いようです。

単純疱疹(単純ヘルペス)って?
 単純ヘルペスウイルスは、大人ならほとんどの人の体の中にいます。体に入り込み、神経細胞の中に潜みながらその人の一生の間、ともに暮らしていくのです。そして、抵抗力がちょっと弱ったりしたときに、皮膚や粘膜に水疱(疱疹)を作るといった悪さをします。疱疹を作るぐらいで、それ以上の悪さはしないのですが、困ったことにこれはシツコイのです。

どんな症状なの?
 普通は「皮膚や粘膜の違和感」→「水疱」→「ただれ(びらん)」→「かさぶた」というお決まりのパターンを1~2週間でたどります。ただし、初感染のときは高熱や全身に水疱が現れるなど重傷になる場合もあります。また、再発でも抵抗力が弱まっていると重傷になりがちです。
健康な人にはうつりにくい病気ですが、免疫力が弱い子どもや病人、高齢者に移ると重傷になりかねません。そういう人に対しては、水疱ができている間は体や使っているタオルなどがふれないように注意しましょう。

どこにでもできるの?
 単純ヘルペスウイルスは体の色々なところに水疱を作ります。主に顔面、特に口の周囲に出ますが、この他に口の中、指先、四肢、体幹、性器などに出るときもあります。話しにくい部位もありますが、医師には包み隠さず相談して、正しい治療を受けることが繰り返しの発症に悩まされないようにする一番の方法です。

完全に治らないの?
 口のまわりや顔などに繰り返しできる水泡は気が滅入りますし、人の目も気になります。本来なら、単純ヘルペスウイルスを体から抹殺したいところですが、それは今のところ難しいとされています。そこで、ウイルスを抑えて共存していくのが、賢い方法となります。幸いウイルスの活動を抑える良い薬もあって、症状がひどくならないうちに治すことが可能になりました。水疱ができる部位などで症状や治療方法が違ってきますから素人判断は危険。繰り返しの症状を良く知っている、かかりつけの医師の指示に従うことが治療への早道です。  

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