2011年5月

震災などの体験や目撃による心の理解とケアのために
 皆様もご存知のことと思いますが、H23年3月11日にとても大きな地震が起こりました。テレビや新聞、インターネット等で、繰り返し流れる地震の様子や負傷者・死者の多さ、頻繁に起こっている余震の多さに怖い思いや不安な思いを抱えられていることと思います。

 子どもも大人も、安全や安心を脅かす出来事を体験したり、衝撃的な事件を目撃することなどで、不安になったり、体調が崩れたりすることもあると思います。多くは一時的なもので、自然に落ち着いていきます。

○様々な反応の例を挙げておきます
・考えたり、怖がったり、不安になる。
・頭痛・腹痛などを感じる。
・寝つきが悪くなる、夜中に目を覚ます、怖い夢を見る。
・(子どもの場合)やたら甘えたり、親の側を離れようとしない。
・話をすることが億劫になったり、ボーっとする。
・外出が嫌になる。
・そわそわして落ち着かない感じがする。
・涙ぐんだり、泣き出したくなる。
 これらの反応は、不安な状況がもたらす心身の反応であり、怖い体験をすれば、異常なことでは
 ありません。周囲の人々が安心感を与えることで、多くは回復していきます。

○上記のような反応のある人と接する際に気をつけたいこと
・いつもと同じ自然な生活のリズムが基本です。
・話してきた時には、さえぎらず最後まで聞いてあげましょう。
・身体の不調を訴えた時には、無理強いせず、ゆっくり休ませましょう。
・怖い夢を見たり、夜中に突然目を覚ましたりした時は、周りの方が「大丈夫だよ」と言ってあげるなど、安心させてあげましょう。
・(子どもの場合)赤ちゃんがえりをした時は、叱らずに十分にスキンシップを与えましょう。

 大変な状況の中で、皆さんが心配や不安をもたれるのは当然のことです。安全という感覚が崩れてしまうような感覚をもたれる方もいらっしゃるかもしれません。だいたいは一過性の症状ですが、ずっと続いていたり、不安や心配が過度であったりする場合は診察時にご相談下さい。

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