2010年9月

ひきこもりについて① ~ご家族へ~
 平成22年7月に内閣府によるひきこもりに関する実態調査から、「ひきこもり」とされる人は70 万人。潜在的な「ひきこもり」の人は155万人との推計結果が発表されました。就職できずにそのままひきこもりになってしまう人、職場での人間関係から仕事に行けなくなってしまう人、精神障害によるものなど、きっかけは様々なものが考えられます。また、「ひきこもり」とされている人のうち、働かず、学校にも行けないが、趣味ならば外出できるという状態の人達においては、46万人との推計がなされており、人との関わりは難しくても、外出することは可能という人も増えているようです。

 怠けているのではないかと思われがちですが、本人にとっては、ひきこもらざる得ない程の傷つきを体験されているのではないかと思います。そのため、人と接触することへの不安や恐れを強く感じてしまい、本人が外部の人に相談することもなかなか難しく、ご家族だけで抱え込んでしまっている場合も多いのではないでしょうか。

 また、近年ではひきこもりが長期化し、ご家族の方々の高齢化が問題視されています。こうした問題の中で、とても大切なことは、ご家族が希望を失わず、少しの変化を喜んだり、自分たちの好きなことを楽しめたりすること、悪者探しをしないことだと思います。ご家族が安定されると、お子さんにも少なからず、良い影響が出てくることが考えられます。

 ひきこもられているご本人が来院されることはとても難しいことかもしれませんが、ご家族の方で気持ちが落ち込んでしまったり、眠れなくなってしまったり、絶望的な気持ちを抱えられている方がいらしたら当院でも何かお役に立てるかもしれません。一度ご相談下さい。

 また、名古屋市でも積極的にひきこもりの方への支援がなされています。精神保健福祉センターや保健所、ひきこもりの子どもを抱える親の会、ひきこもりを経験した方の就職支援など、積極的に外部のサポート機関を頼ってみることもひとつの方法だと思います。

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