2007年7月心理室より

笑い
【笑い】
 板倉医院便り5月号ではリラックスを生み出す脳内物質、セロトニンについてお話しました。そして、セロトニンの分泌を促進させるためのいくつかの方法を紹介しましたが、その中に“笑う”という方法がありました。今回は、その“笑い”についてお話します。

“笑い”とは、人間に特有の行動です。私たちは、嬉しかったり、楽しかったりする時に笑いますね。しかし、“笑い”とは喜びなどの感情を表現するだけではない、さまざまな効果があるようです。

【“笑い”の効果】

○心の健康
・自律神経を安定させ、ストレスの解消になる
 笑うことによって、自律神経の頻繁な切り替えが起こります。笑い始めでは血管が収縮し、交感神経の作用が続きます。交感神経は心臓の働きを促進させ血流を増やします。その後副交感神経が活発になっていきます。副交感神経は、安らぎ、安心感を感じたときの状態のときに優位で、副交感神経が優位な状態が続くとストレスが解消されます。つまり笑うことはストレス解消へとつながるのです。

・リラックス
 大きく深呼吸するとリラックスできますが、笑うことも同じ作用をもたらすので、リラックスすることができます。

○体の健康
・免疫力・自然治癒力が高まる
 笑うことによって酸素を体内に取りこみ、血行をうながします。脳や全身へ酸素や栄養がスムーズに運ばれるようになるので、新陳代謝がよくなって免疫力も高めます。また、笑うと、笑いに応じた善玉の情報伝達物質が血液中に放出されます。善玉情報伝達物質は免疫細胞の働きを高めます。研究の結果、がん細胞などを攻撃する免疫細胞のひとつであるナチュラルキラー細胞が活性化され、ガンの予防と治療の効果があることや、中性脂肪や血糖値を正常値に近づけることなども示されているのです。

・笑いは体内の運動
 笑いは有酸素運動なので、よい運動になります。20秒間お腹を抱えて笑うと心臓の運動量は3分間、力一杯ボートを漕いだのと同じ効果があるために、笑いは「体内のジョギング」とも言われるそうです。

・美容効果
 笑いすぎると小じわが増えてくるからイヤと感じていらっしゃる方もいるかもしれませんが、これは間違いです。顔には、表情を作る筋肉が20種類以上ありますが、筋肉は使わないと徐々に衰え、肌のツヤや張りに悪い影響を及ぼします。積極的に笑い、顔の筋肉を使うことによって、筋肉の老化を遅らせることができ若さを保つことができるのです。

 作り笑いでも良いのです。なぜならば、普通は脳が楽しい、嬉しいと感じたときに自然と笑顔になるのですが、逆に笑顔を作ることで脳内に刺激が伝わり、脳はうれしい、楽しいと勘違いするのです。そして私たちは本当にうれしい、楽しいといった感情で満たされることができるのです。

 素敵な笑顔は周囲の人をも幸せな気分にさせてくれますね。人も自分も幸せにしてくれる、笑顔、大切にしたいものですね。

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