2005年9月心理室より

シンドローム
みさなさんは○○症候群、△△シンドロームという言葉を聞いた事がありますか?最近ではこの言葉がとても多くなり、あちこちで耳にするようになりました。症候群という言葉を調べてみると、はっきりした原因は不明だが、いつも必ず幾つかの症状が伴ってあらわれる時、病名に準じて使う医学用語。シンドローム。とありますが、今ではもっと簡単に”症候群”という言葉が使われている傾向があります。次にあげるものの中にはみなさんも聞いた事があるものがあるのではないでしょうか?

○青い鳥症候群
 メーテルリンクの『青い鳥』(チルチルとミチルのお話)から、母子関係が濃密すぎ、母親の影響が強すぎるため、精神的な成長が止まってしまった青年像を表わす言葉としてあげられます。環境や集団に素直に順応し、自分を主張しない現代の青年の背景に潜む幼児性の高さを表すと言われて
います。「どこかにもっと自分にふさわしい仕事があるのでは」と悩んでは転職を繰り返し、社会人としての第一歩がなかなか踏み出せず、現実に挫折し、現状を受け入れがたく、夢を描き理想を求めて(幸福の青い鳥を求めて)転々とすることが指摘されています。
社会性を身につける経験に乏しく、忍耐や我慢ができない若い人に多く見られると言われ、子供時代を勉強中心で過ごし、友達といえる人間が少ない人やプライドが高く、高い知的能力とは裏腹に、自分の思う通りにことが運ばないと我慢できないような自己中心的な人に多く見られると言われています。

○空の巣症候群
 子供や夫の世話に生きがいを感じていた主婦が、子供の独立や夫の不在がちな状況を契機に、こころの中にポッカリ穴があいたような空虚な気持ちにおちいることを表わし、内交的で、人と付き合うのが嫌いな性格で、家にいるほうが好きというタイプに多いと言われています。子育てを生きがいとしてきた良妻賢母型の専業主婦に多いといわれていますが、更年期や夫との絆の弱さなどの要因も指摘されています。
まずは何も考えずにゆっくりと休むのが、なによりの薬です。子供はいずれ育っていくものと考え、趣味や習い事を通じて、子供以外の生きがいを見つけましょう。
 地域の集まりには積極的に参加し、特に夫とのコミュニケーションを増やして、第二の人生を夫婦で楽しく過ごせるようにあらかじめ人生設計を立て、共通の趣味を見つけて行くのも良いでしょう。

○燃えつき症候群
 恋愛や子育てなどであまりにも力を入れて頑張ったあげく、最後に何もなくなるといきなり鬱状態になることを表わします。
 あたかも燃え尽きたかのような無気力状態に陥る心身の疲労状態を表すものとして名づけられました。
 「燃え尽き症候群」に陥り易い人は、高い目標を持って仕事に全力投球し、その努力に見合った報酬を期待する人たちだと考えられます。
 仕事優先で、がむしゃらに働くといった、典型的な会社人間にも多くみられるようです。仕事に高い目標を掲げるのもいいのですが、完全に仕事を成し遂げようと、がむしゃらに全精力をかけ過ぎると体も心も疲れきってしまいます。「仕事を成し遂げる人は立派」という価値観にとらわれず、時には手を抜き「たかが仕事、自分は自分、人は人」という気持ちを持って仕事をすることや、時にはフッと息抜き
をする習慣を身につけることも必要でしょう。そして、人生の意義を仕事以外にも見つけられるようになることが大切なのではないでしょうか。

○ピーターパン・シンドローム
 『ピーターパン』の主人公の心性にちなんで、現代に生きるある種の男性の心理現象を症候群としてとらえたものです。一般にこの言葉は、大人への成熟を拒否しいつまでも子どものままでいることを願う「おとな・こども」の男性の社会的、心理的傾向を指して用いられます。立派なキャリアに憧れるが、努力を怠るため職場を転々とする、というようなことも指摘されています。
 やや未熟で依存的な傾向があり、まわりには敏感で主体性に欠け自己主張も苦手な生真面目な人に多く見られるようです。大人の仲間入りが難しく、夢の島で遊ぶ永遠の少年を意味しています。

○サザエさん症候群
 『サザエさん』を見ている最中や月曜日の朝には、気分がふさぎこんで理由もなく涙が出たり、頭痛やめまいに襲われ、出社するのが苦痛になるというような状態になることが言われています。仕事以外にこれといった趣味もなく、休日に誰かと遊びにいくことも少なく、近所に親類や親しい友人がいない一人暮らしの働く女性に多いと言われ、特に都会暮らしを始めたばかりのまじめなタイプは要注意だと指摘されています。
 気分転換が下手で、人とのコミュニケーションが希薄な人が陥りやすいと言われています。職場に問題がある場合もあるので、人間関係の改善や、仕事にやりがいを持つことが大切でしょう。休日を一緒に過ごせる仲間を作ったり、気分が落ち込んだ時に話をできる友人をつくるようにすると楽になるのではないでしょうか。また、万一出社できなくなった場合、周囲の励ましが逆効果になることもあります。
 任せられる仕事は他人に任せ、ゆっくりと休養をとることが大切です。そして、極端に言えば嫌な月曜日は休んでしまうというくらいの気持ちで、肩の力を抜くことが必要でしょう。

 ここにあげた以上に○○症候群、△△シンドロームという言葉は多くあります。しかし、「症候群」がひとり歩きするという恐れもあり、あくまでその人を理解するのに便宜的に使うものであって、その人を規定するものではないのです。その人の本質をみるということが大切だと言えるでしょう。

カテゴリー: 200509, 心理室より パーマリンク