2003年5月心理室より

パニック障害

今回も前回に引き続きパニック障害についてお話したいと思います。

パニック発作が起こるようになると、「いつ起るのだろう」という不安にとらわれることになります。これを予期不安といい、常に予期不安にさいなまれる場合、1ヶ月のうち数回だけ不安を感じる場合など現れ方はさまざまです。

予期不安の内容は主に次のような恐怖であると考えられます。
 ●発作症状そのものに対する恐怖
 ●発作により死んでしまうのではないかという恐怖
 ●発作により病気になるのではないかという恐怖
 ●発作により気を失うのではないかという恐怖
 ●発作により気が狂ってしまうのではかという恐怖
 ●発作により自分が取り乱してしまう事への恐怖
 ●発作を起こしても助けてくれる人がいないのではという恐怖
 ●発作を起こしてもすぐにその場所から逃げ出せないのではという恐怖

パニッック障害にはこのような予期不安があり、そのためにリラックスした気分になれず行動も知らないうちに自分を守るようなものになり、行動範囲も狭められることが考えられます。

パニック発作は状況とは無関係に起ると考えられていますが、予期不安が強くなってくると、以前に発作を起こしたことのある場所や状況そのものが恐怖の対象となってきます。逃げ出すことが困難であったり、助けが得られにくいような状況に対しても恐怖を感じることになり、結果として、特定の状況や場所を避けるようになると考えられます。具体的には、公共の交通機関であったり、トンネルやエレベーター等の狭い場所、劇場や映画館といった状況を恐れるようになり、これが広場恐怖といわれるものです。

発作のメカニズムは研究の段階ですが、予期しない衝撃的な出来事に対し普段の冷静さを失い、判断力が狂ってしまうということは誰もが陥る正常な反応です。過大な不安と恐怖が死を思わせる程の辛いものであることは確かですが、決して死を招くようなものではないことを理解することも対策としてあげられます。パニック障害は気持ちの持ち方が悪いから起るものではなく、ましてや都合が悪いからわざと起こしているというものでもありません。症状に対する周囲の方の十分な理解も大切だと考えられます。

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