2002年5月

慢性肝炎   
 肝心要(かんじんかなめ)という言葉通り肝臓はとにかく重要な臓器です。まずは肝臓の働きをまとめてみました。

食べ物から得たアミノ酸・たんぱく質・脂質・ビタミンといった材料から人間の体に必要なものを貯蔵したりしています。体内で生じた有害物質や不要となったホルモンや血液を分解処理したり、お酒や薬などを分解処理しています。肝臓はとてつもない精密な解毒処理と再生をおこなう場所なのです。また、20%ぐらいの大きさに切り取ってもやがて元の大きさに戻るくらいの復元力を持っています。肝臓は大きなダメージを受けても残った正常な部分で十分に働く臓器なのです。

【急性肝炎と慢性肝炎】
 急性肝炎を起こす原因は肝炎ウィルスによるもの、薬剤によるもの、アルコールによるもの、また、肝炎ウィルス以外のウィルスによるものなどがあります。この中で最もよく知られているのは、肝炎ウィルスによる急性肝炎です。最近ではウィルス肝炎はA型、B型、C型、D型、E型の5種類に分けられるようになっています。この中で最もよくかかる急性肝炎は、A型、B型、C型肝炎でしょう。

 A型肝炎は、汚染された飲食物を生で摂取することにより経口的に感染する疾患です。伏期は約30日くらいです。病状は発熱とともに黄疸、全身倦怠感、疲れやすい、食欲不振などが出現します。診断は血液中のIgM型HA抗体の検索をします。まれに劇症肝炎となり死亡する場合もありますが、大部分は2~3ヶ月で治癒し、慢性肝炎には移行しません。 

 B型肝炎は、かつて血清肝炎と呼ばれたことがありますが、血液または体液を介して感染する疾患です。今日では成人での初感染例では一過性の急性肝炎で終わり、まれに持続感染して慢性化する場合もあります。また、母親からB型肝炎ウィルスを受け継いでいる無症候性Hbs抗原キャリアーの人が急性発病する場合もあります。

 C型肝炎はもっぱら輸血後に発症する肝炎です。ウィルスは発見されていませんが、血液検査にて診断をつけることができるようになりました。C型肝炎は、特に慢性化しやすい肝炎の代表です。

 急性肝炎の治療は原則として入院にて安静を保たせ、ブドウ糖やビタミン剤の点滴注射がなされます。慢性肝炎の場合は、急性肝炎と肝硬変の中間に位置していて、6ヶ月以上の肝臓の炎症の持続があります。治療には強力ミノファーゲンCやインターフェロンが試みられています。

 【今年度から平成18年度までの5年間、名古屋市の住民健診で C型・B型肝炎ウィルス検査が出来るようになりました。】

 対象者
今年度40、45、50、55、60、65、70歳になる方。
今年度に40歳から70歳になる方で、1.もしくは2.に該当する方です。
 1.過去に輸血を受けたことがある方
 2.過去に肝機能異常を指摘されたことのある方。

【注意!】
 C型・B型肝炎ウィルス検査のみを単独で受けることは出来ません。
 成人基本健康審査、なごやか健診または訪問健康審査を受診する場合に受けることが出来ます。
 C型・B型肝炎ウィルス検査を受けることが出来るのは、5年間の検査期間を通じて1回だけです。
 自己負担金が1000円かかります。

 気になることがございましたら、お気軽にご相談ください。

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