2000年7月心理室より

心理室より 子どもシリーズ 抜毛症
 
先回から、子どもの気になる癖や症状についてシリーズでお届けしています。今回は抜毛症についてお話ししたいと思います。

【抜毛症って何?】
子供に見られる心身症の一種で、頭髪・眉毛など体毛を自分で繰り返し抜いてしまうものです。皮膚病などで抜け落ちてしまうものとは違い、ツルツルにならず、生えている部分と抜けている部分の境界がはっきりしないのが特徴です。部位としては、頭頂部や耳の上あたりが多いようです。

【抜毛症の原因は?】
不安定な精神状態や欲求不満が背景にあると考えられ、不安や緊張から注意をそらすための行為として無意識のうちに行うものとされています。 どんな子に多いの?年令としては小学生から思春期にかけて、特に女子に多く、比較的学歴の高い親を持ち、感情を表に出さない大人しい子に多いようです。

【どんな治療をするの?】
【薬】による治療と、【カウンセリング】や【遊戯療法】による精神面のケアが考えられます。場合によっては両者を併用することもあります。

【抜けた髪の毛はもう生えないの?】
 時間はかかりますが、髪の毛を抜くことをやめれば必ず生えてきます。ご安心下さい。

【家族はどんな対応をすればいいの?】
体毛を抜くことで安心感や解放感を得ようとしているので、抜くのをやめさせようと注意したりすることはやめましょう。注意されることで罪悪感や緊張感を高めてしまうことになり、抜くのをやめないばかりか、かえって症状を悪化させることになりかねません。また、抜いた毛を散らかしたままにしていても手を出さず、本人が片付けるまでそのままにしておきましょう。体毛を抜いてしまう行為そのものに目を向けるのではなく、その要因である心に目を向けるようにしましょう。

 *もし、こういった症状でお困りのお子様がいらっしゃれば、早めに医師にご相談下さい。

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