マインドフルネス

日常生活の中で、ついつい嫌なことを考えてしまうこと、ありませんか?
「なんであの時、あんなことを言ってしまったんだろう」
「もっとこうすれば良かった」
「仕事でやってしまったミスが気になって眠れない」
「来週の会議のことが不安で、頭から離れない」
上記の例は、過去の失言や失敗、それに対する後悔、未来の出来事への不安です。どれも全て、“過去の出来事”や“未来の出来事”に心が囚われてしまっている状態です。このような状態から現在に意識を向けることによって、心の苦しみを断ち切る方法の1つに、マインドフルネスがあります。

 「マインドフルネス」は、認知行動療法の一つとして発展した心理学的技法ですが、元々は仏教の座禅からヒントを得ています。心理学や脳科学、医学といった観点から、マインドフルネスの方法・効果は科学的に検証されており、うつ病や不安障害、精神心理的なストレスに対する有効性が示されています。

 「マインドフルネス」とは、「今この瞬間の体験に意図的に意識を向け、評価をせずに、とらわれのない状態で、ただ観ること」「なお、“観る”は、見る、聞く、嗅ぐ、味わう、触れる、さらにそれらによって生じる心の働きをも観る、という意味である」と定義されています。(日本マインドフルネス学会による定義)
この定義を簡単にまとめると以下のようになります。
1.今この瞬間の出来事に
2.積極的に・意識的に
3.評価をしないでありのままに
この3つを押さえつつ、体験に注意を向ける事が重要なポイントになります。

マインドフルネスの実践―レーズンエクササイズ―

「マインドフルネス」の方法の1つである「レーズンエクササイズ」をご紹介します。
レーズンエクササイズを行う際に必要な物は、“レーズン1粒“と“静かに集中できる環境”です。
※レーズンが苦手な方は、クランベリーなどの乾燥果物、ナッツやくるみといった手でつまんで食べられるようなもので代用できます。
手順
1.まずはゆったりとした姿勢で座る
 椅子や床などに、ゆったりとリラックスできる姿勢で腰掛けます。
2.まずはじっくり観察してみましょう
 レーズンを一粒手のひらに載せます。そのレーズンを生まれて初めてみるもののように、意識を集中してよく観察します。
「どんな色でしょうか?」「形はどのように見えますか?」
十分に目で観察したら、次は指で触って感触を探ってみましょう。
「かたいでしょうか?柔らかいでしょうか?」「ベトベト?ザラザラ?」
次に、臭いを嗅いでみましょう。
「どんな臭いがしますか?」
3.レーズンを食べてみましょう
 はじめは口の中に入れるだけです。その後コロコロと舌の上で転がします。
「どんな食感がしますか?」「もしかしたら唾液がでてきているのを感じ取れるかもしれませんね」
次に、ゆっくりと噛んで味わってみてください。
「どんな味がしますか?」

 以上が、レーズンエクササイズの手順になります。初めは、10~15分くらいかけて、ゆっくりと行ってください。「今、ここで、体験している感覚(五感)」に意識を向け、気づくことができるようになることを目標としています。このエクササイズをしている間は、過去・未来に囚われることなく今に意識が向いていることと思います。このように、徐々に今に意識を高めていきましょう。
 レーズンエクササイズは非日常的なことかもしれませんが、日常の中でも、「マインドフルネス」につながるきっかけや手がかりを作っておくのも良いと思います。どうしてもぼんやりしてしまう日でも自分に意識を向けれるように、例えば、食事中であれば、箸を休める度に一噛み一噛み味わって食べるという目標を思い出すようにしたり、職場で1時間毎に意識的に休憩を挟んだりといったことです。

ぜひ、「今この瞬間に感じる感覚に意識を集中」してみてください。

カテゴリー: 201611, 心理室より パーマリンク