「認知症の物忘れ」と「年相応の物忘れ」の違いについて

物忘れがあると「もしかして認知症なのでは?」と心配される方も多いですが、加齢にともなう年相応の物忘れと、認知症の物忘れには違いがあります。

《 普通の物忘れ・・記憶の帯から体験の一部を忘れてしまう 》
・体験や出来事の一部を忘れるが、体験の他の記憶 から忘れた部分を思い出すことができる
・物忘れをしたという自覚がある
・時間や場所、人物まで分からなくなることはない

《 認知症の物忘れ・・記憶の帯から体験全体が抜け落ちる 》
・体験や出来事の全体をまるごと忘れるので、ヒントがあっても思い出すことが困難
・物忘れをしたという自覚に乏しい                              
・時間や場所、人物などがわからなくなることがある

介護者を困惑させる言動、行為が起こる原因の例
 《 中核症状 : 脳の神経茶房が損傷を受けることによって起こる症状 》 
 記憶障害・・何度同じことを言っても理解してもらえない
       いつも探しものをしている

 言葉の障害(失語)・・簡単なものの名前が出にくい
            代名詞(あれ・それ)を使うことが多くなる

 見当識障害・・時や季節、自分のいる場所がわからない
        目の前の人が誰だかわからない

 実行機能障害・・料理など手順を踏んで実行する作業ができない
 
などの症状 + 不適切な対応、不快感、不安、焦り、身体不調
               ↓
         行動・心理症状が出現

 《 行動・心理症状 : 中核症状にその人の心の状態や周囲の環境が作用することによって出てくる症状 》
 妄想、徘徊、排泄の混乱、攻撃的な言動行為、食行動の混乱 等
こういった症状は、認知症の人が感じている身体の不調や精神的なストレスを取り除くことで緩和すること
 が可能です。
 
 
医療機関にかかるタイミング
普通の物忘れとは異なる「認知症の物忘れ」がみられたら、医療機関を受診しましょう。また、普通の物忘れでも、半年から1年といった短い期間で物忘れが急速に目立ってきたのであれば、早めに医療機関にかかることをお勧めします。
ご本人が受診を嫌がることも多いかと思いますが、そういった場合はまずはご本人が馴染んでいるかかりつけ医を受診して、そこから専門医を紹介してもらうといったかかり方もあります。当院でも、物忘れの検査は行っておりますので、気になる症状がある方は受診の際にスタッフにお気軽にご相談ください。

最後に、認知症が疑われるポイントをご紹介致しますので、セルフチェックにご利用下さい。

□ 直前にしたことや話したことを忘れてしまう

□ 何度も同じことを聞いたり、言ったりする

□ よく知っている人の名前を覚えていない 
  
□ 買い物に行く度いに同じものを買ってくる

□ 財布の中が小銭でいっぱいになっている(お金の勘定ができない)

□ 冷蔵庫に同じものがたくさん入っている

□ 料理の味付けが変わってきた

□ 置き忘れや、しまい忘れが目立つようになった

□ 好きだったことに興味や関心がなくなった

□ この半年から1年間くらいで急に物忘れが目立ってきた

カテゴリー: 201511, 病気・治療 パーマリンク